突如謎の新人バンドとして現れたFrantic EMIRY、その正体は若手ヴィジュアル系バンドの中でも有力株であるDaizy Stripperの覆面バンド。Daizy Stripper時とメンバーやパートは固定されたままで活動しており、美しい黒系のゴシックな衣装に身をまとった姿からもわかるように音楽性は本来の爽やかでメロディアスなロックとは真逆にヘヴィーでダークな曲を展開しています。表題曲の「World End」はDrum&Piano担当のZEUSが作曲しており、耽美でクラシカルなピアノで始まり、重いギターリフが刻み込まれるヘヴィーナンバー。彼らが得意としているメロディーセンスは逸材で、激しい演奏に喰われない切ない旋律とキャッチャーで疾走感のあるサビがとても心地よい曲となっています。どこか懐かしい90年代の正統派ヴィジュアル系バンドな曲調には好印象をもちました。c/wの「戦場、衝動、ジェノサイド」はシャウトやデスヴォイスに入り混じったメタルでカオスな演奏が襲い来るヘヴィーナンバー。アウトロのギターは戦場跡の虚しさが入り混じったような民族音楽的アプローチで渋いです。自分はDaizy Stripperの美しい音楽も好きなのですが、今の軟弱気味な若手ヴィジュアル系では珍しく久しぶりに懐かしいダークで正統派な曲を聴かせてもらったので、これからのFrantic EMIRYの活動にも期待すると同時に、いつかフルアルバムでたっぷり堪能できる日を楽しみに待っています。